歯槽膿漏?歯周病?似た名前が多くて混乱していませんか?


この記事は2018年の秋に院内で配布されたリーフレット『フレッシュ通信 Vol.21A:歯肉炎と歯周炎の違い、ご存知ですか?』のWeb版です。
(この記事は2019年7月24日に更新されました)

歯槽膿漏?歯周病?似た名前が多くて混乱していませんか?

今回は歯周病に関連する似た名前の言葉の違いと、正しい使い方についてご説明します。

歯周病、歯槽膿漏、歯肉炎、歯周炎と、歯周病に関連する言葉には似た名前のものが多く、混乱されてる方がいらっしゃると思います。 最近はテレビでもよく聞く名前なので、ちょっとばかり「へぇー!」と思ってもらえたらと思います。



歯槽膿漏とは

歯槽膿漏(しそうのうろう)とは、歯周病のかつての呼び名です。

もしかするといまだに一番通りのいい名前かもしれません。 ですが、今はもう歯周病の教科書にすら登場しない名前となりました。

私たち歯科医師はきっちり言葉を使い分けていますが、患者さんは「歯槽膿漏」と呼んでいただいても「歯周病」と呼んでいただいてもかまいません。

歯周病とは

歯周病(ししゅうびょう)は歯ぐきの炎症から始まる怖い病気です。 最初は歯ぐきが赤かったり腫れていたりするだけで強い自覚症状はありませんが、進行すると歯を支えてる骨を溶かし、最終的には歯が抜けてしまいます。 今は虫歯よりも歯を失う原因になっています。

最近はテレビでも「歯周病」や「予防歯科」という言葉をよく耳にしますが、それは歯周病が進行してしまうとなかなか元の状態に戻すのが難しい病気だからです。 進行してしまう前に予防する習慣をつけてあなたの大切な歯を守っていきましょう。

歯肉炎とは

歯周病の初期段階を歯肉炎(しにくえん)と呼びます。

歯肉炎は、歯垢や歯石の付着が原因で歯ぐきが炎症を起こしている状態です。 炎症によって歯ぐきが腫れたり赤くなったりしていますが、強い自覚症状がないため、自分では気付きにくいと思います。

歯肉炎の段階だと、衛生士によるアドバイスを受けた自宅での丁寧な歯磨きと、歯科医院での歯石取りによって健康な状態を取り戻せます。

歯周炎とは

歯周炎(ししゅうえん)は、歯周病がさらに進行してしまい、歯を支えているあごの骨が既に破壊されている状態を言います。

治療としては歯磨き指導と歯石取りで炎症を治していき病気の進行を止めますが、残念ながら失われた顎の骨は元通りにはなりません。 早期に気付いて適切な治療を行えば、その段階から歯を守っていくことができます。


歯周病の似た名前はこう使い分けてください


ここまでのお話を図にまとめるとこのようになります。

大きく【歯周病】という病気があり、その中の軽度のものを【歯肉炎】、中度~重度のものを【歯周炎】と言います。

歯槽膿漏はもう使われない言葉になりました。


まとめ


今回は歯周病に関する似た名前の区別の説明をしました。

患者さんに「きっちり使い分けてください!」と言いたいわけではないので、患者さんは【歯槽膿漏】でも【歯周病】でも【歯肉炎】でもかまいません。 もし気になっていた方がいましたら「へぇ」と思っていただければと思います。

歯周病は本当に怖い病気です。 まずは歯医者へかかって現在の状態を把握、そして定期的なメインテナンスを続けましょう!

当院はメインテナンスだけの患者さんも歓迎しています!




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